92:乳がんは年々増え続けている病気です。また、乳がんの発生は40歳代から50歳代がピークですが、若い世代の乳がん患者も上昇しており、乳がんは決して他人事ではありません。10月のピンクリボン月間を前に、乳がん検診が女性の間にどのくらい浸透しているのか、定期的な検診は行われているのかについてお聞きしました。調査実施:2012年 9月7日~9月11日

 
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“乳がん検診について

Q1.あなたは、これまでに一度でも乳がん検診を受けたことがありますか?

全体で7割近い受診率。

40代以上は8割が乳がん検診の経験があるものの、30代では半数、20代では2割に下がっています。また、仕事をしている人の方が受診率は高いという結果でした。

乳がん検診の経験のある1220人にお聞きしました

Q2.今までに何回くらい乳がん検診を受けていますか?

最も多いのは2~3回の受診経験者で全体の3割。

次いで多いのが、1回のみの人で4人に1人の割合でした。仕事をしている人は、受診率の高さと共に受診回数も多いことがわかります。

Q3.乳がん検診はどのような形で受けましたか?

全体で多いのは、自治体による乳がん検診。

仕事をしている人は勤務先が全額費用負担する検診受診率が高く、仕事をしていない人は配偶者の勤務先が一部費用負担する検診受診率が高いです。無料で受診できるのか、一部負担しなければならないのかの違いが、仕事をしている人の受診率の若干の高さにつながっているのかも知れません。全額実費による受診は15%に満たない結果です。

Q4.あなたが受けたことがある乳がん検診は?

全体の8割が「視触診」と「マンモグラフィー」による乳がん検診を経験。「エコー検査」は6割程度。

Q5.初めて乳がん検診を受けたのは、おいくつの時でしたか? 

初めて受診した年齢は、30代が最も多く、30代前半、後半それぞれ3割弱で、全体の半数以上を占める。

次いで多かったのが、40代で前半後半をあわせ、27%でした。初めての受診が20代の人は少なく、前半後半あわせても13%程度です。

Q6.初めて乳がん検診を受けたきっかけは?

全体では、本人が必要性を感じたことがきっかけの人の割合が最も多く、3人に1人の割合。仕事をしている人は、勤務先での定期健診がきっかけの人が多い。

現在仕事をしていない人も、4人に1人は、以前の勤務先の定期健診が受診のきっかけになっており、企業側の検診促進が普及に貢献しているようです。

Q7.受診先情報はどうやって得ましたか?

受診先情報は検査機関からの情報が最も多く、約半数。

次いで、自治体からの情報が多く、全体で40%でした。

Q8.初めて検診を受ける際に一番参考になった情報は何からの情報でしたか?

初めての受診で一番参考になったのは自治体からの提供情報。

仕事をしている人については、勤め先からの情報をあげる人が最も多く、現在は仕事をしていない人も当時の勤め先の情報が参考になっていたようです。乳がん検診経験者からの情報をあげた人も15%おり、身近に経験者がいる人にとっては、何よりの情報だったのかも知れません。

Q9.乳がん検診を受けてみて、良かったなと思ったことはありましたか? 

受診して良かったと思えた人の割合は全体の87%。ほとんどの人が受診して良かったと回答。

Q10.乳がん検診を受けてみて、良かったなと思ったことがある方1056名に聞きました。良かったなと思ったことについて、具体的にお答えください。

“良かったなと思ったこと 自由回答抜粋
がんではないことがわかって安心できた

・30歳までに未出産だとリスクがあると聞いていたので、30歳を機に受診。乳がんでないということがわかり、不安がなくなった(39歳/鹿児島県/専業主婦)

・しこりがあったので、乳腺外来で触診・マンモとエコーを受けました。ものすごく落ち込んでいましたが、良性のものとわかってものすごくほっとしました。(34歳/山梨県/専業主婦)

乳がんの早期発見につながった

・医師が触診してもわからないような小さな状態、早期の状態で、乳がんを見つけてもらい、早期に治療に入れた。(44歳/愛知県/契約社員)

・乳がん検診によって病気が早期に発見でき手術ができたから。(45歳/東京都/専業主婦)

自己触診の方法がわかった

・自分でできる触診の仕方についても丁寧に教えてくれたこと(38歳/岡山県/パートアルバイト)

・自分での検査の仕方など、全くいい加減なものだったので、改めて専門の方にきちんと指導していただいて良かったです。(41歳/埼玉県/専業主婦)

乳がん検診を受けてみて、良かったなと思ったことで圧倒的に多かった声は、受診をして「安心できた」。

乳がん検診が早期発見につながり、良かったという声も聞かれました。

Q11.乳がん検診を受けてみて、嫌だったなと思ったことはありましたか? 

半数以上の人は嫌だったことがあると回答。

受診して良かったとする回答者が多い反面、嫌な思いをされた人も多くいらっしゃいました。

Q12.乳がん検診を受けてみて、嫌だったなと思ったことがある方655名に聞きました。嫌だったなと思ったことについて、具体的にお答えください。

“嫌だったなと思ったこと 自由回答抜粋
マンモグラフィーが痛かった

・とにかく痛い。更に「痛い」と言ったら医師が「授乳経験がないから組織が固いからだ」と無神経に言って不快だった。(52歳/神奈川県/専業主婦)

・マンモグラフィーが非常に痛かったこと。やっと撮影したと思ったら、「ちゃんと写っているか心配なのでもう一枚撮らせて」と2回も痛い思いをしたこと。(47歳/愛知県/パートアルバイト))

医師や検査技師が男性だった

・女性の先生が診てくれると聞いていたが、女性なのは機械を担当する方で、触診で男性に触られたのが嫌だった。2回目に受診予約するときに指摘したが、触診は男性しかいないとのこと。それって女性が診てくれるとは言わないと思う。(35歳/静岡県/パートアルバイト)

・女性医師が少ないので仕方ないと思うが、健診が初対面の男性医師に診察してもらうのは、ためらいがある。(42歳/宮崎県/専業主婦)

恥ずかしかった

・乳房を含め、脇の下などを広げた状態を他人の目に晒さなくてはなかった事。羞恥心があった。(47歳/宮城県/自営業)

・マンモグラフィーに胸が乗らずに、看護師さんが一生懸命胸を集めてくださって、恥ずかしかったので。(36歳/愛知県/専業主婦)

触診が嫌だった

・相手がドクターとはいえ、やはり胸を触られるのは抵抗がある(36歳/京都府/自営業)

・触診で胸を丁寧に触られること(44歳/鳥取県/パートアルバイト)

(検診担当者が女性でも)裸になること

・裸になることです。でも、女性の技師だったので我慢できました。(43歳/北海道/専業主婦)

・人に乳房を見せることに抵抗を感じたこと。(38歳/神奈川県/その他)

乳がん検診を受けてみて、嫌だったこととして、圧倒的に多かった声は「マンモグラフィーが痛かった」ということ

医師や検査技師が男性であったという声も非常に多くあがっています。痛みを和らげる検査機器の開発が望まれると共に、乳がん検診にあたる女性医師や女性技師が増えることが望まれます。

Q13.乳がん検診は定期的に受けていますか? 

受診経験のあった人が66.5%であったのに対し、定期的に検診を続けている人は、そのうち約半数。

仕事をしている人の方が、定期的に受診している割合が高いものの、それでも6割に満たない結果です。

Q14.定期的に乳がん検診を受けている理由は?

本人が定期的に受診する必要性を感じていることが、健診を定期的に受ける最大の理由。

仕事をしている人については、勤務先の定期検診が、仕事をしていない人も配偶者の勤務先の検診が、動機付けになっているようです。また、自治体の検診が定期的に行われていることも、動機付けになっています。しかしながら、何より重要なのは、本人の意識ということがわかります。

Q15.定期的に乳がん検診を受けていない、または受けることができない理由は? 

“その他 定期的に乳がん検診を受けていない・受けることができない理由 自由回答抜粋
授乳中・妊娠中だっかから

・妊娠するまでは定期的に受診していたが、妊娠出産で中断し、そのまま受けていない。(37歳/愛知県/専業主婦)

・授乳期間があったりして定期的に受けられない。(36歳/神奈川県/パートアルバイト)

毎年受診する必要がないといわれたから

・先生に2年に1回で良いと言われたので。(43歳/福岡県/パートアルバイト)

・自治体の補助が2年ごとのため(55歳/山口県/専業主婦)

仕事を辞めたから

・結婚して仕事を辞めたので、定期検診がないから。(33歳/大阪府/専業主婦)

・退職したため検診の手続きが面倒になった。(50歳/富山県/専業主婦)

定期的な乳がん検診の最も多かった阻害要因は、過去に経験した受診時での嫌な思い。

次いで、費用負担の重さがあがっています。「時間がないから」「定期的に受ける必要性を感じないから」という受ける側の意識によるものもありますが、受診環境の改善も望まれるところです。

乳がん検診の経験のない615人にお聞きしました

Q16.現時点で、ご自身が乳がん検診を受ける必要性をどのくらい感じていますか?

受診経験のない人の6割は、受診の必要性を感じている。

年代別にみると、30代の人の必要性を感じている割合が最も多く、7割以上。次いで40代、20代の順で、50代以上になると必要性を感じる人の割合が下がり「とても感じている」「わりと感じている」をあわせても4割未満になってしまいます。受診未経験者も、決して必要性を感じていない人ばかりではないことがわかります。

Q17.乳がん検診を受ける必要性を感じていない方580名に聞きました。必要性を感じていない理由は?

“乳がん検診を受ける必要性を感じていない理由 自由回答抜粋
セルフチェックで確認しているから

・自己診断で問題がないと感じているから。(54歳/埼玉県/専業主婦)

・自分で触診しているので、たぶん大丈夫そう(39歳/北海道/正社員)

年齢的に早いと思うから

・まだ検診対象年齢でないので。(32歳/富山県/正社員)

・まだ年齢が若いから。(28歳/岩手県/専業主婦)

授乳中・妊娠中だから

・授乳中で、毎日自分で触診しているようなものだから。(33歳/岡山県/正社員)

・現在、妊娠中だから(28歳/岩手県/パートアルバイト)

がんの家系ではないから

・家系的にがんのリスクは少ない。(39歳/大阪府/専業主婦)

・身近に乳がんになった家族がいないのでなるリスクが低いと思っているからです。(39歳/東京都/求職中)

受診の必要性を感じない理由として、「セルフチェックで確認しているから」「年齢的に早いと思うから」「授乳中・妊娠中だから」「がんの家系ではないから」という声があがっている。

Q18.受診する必要性を感じているにも関わらず乳がん検診に行けていない理由は?

“その他 必要性を感じているにも関わらず、検診に行けていない理由 自由回答抜粋
マンモグラフィーが痛いと聞くから

・痛いと聞いたので。(35歳/茨城県/専業主婦)

・検診が痛そうだから。(40歳/兵庫県/パートアルバイト)

授乳中・妊娠中だったから

・授乳期→妊娠とチャンスを失っている(36歳/東京都/派遣社員)

・授乳中だから(31歳/神奈川県/専業主婦)

◆乳がん検診の必要性を感じているにも関わらず、受診に至っていない理由の多くは「きっかけがない」。

次いで多かったのが、「受診料がかかるから」というものでした。この結果は昨年調査でもあがっていました。仕事をしている人は、仕事の忙しさを、仕事をしていない人は、子育ての忙しさを多くあげていますが、忙しさを理由に後回しにされてしまっている現状がわかります。

Q19.乳がん検診経験者、検診経験はないが必要性は感じている580名に聞きました。検診を受ける環境がどのように変われば行きやすいと思いますか?

検診を受ける環境がどのように変われば行きやすいと思うか 自由回答抜粋
(自治体の補助で)費用が無料になる・安くなる

・市からの補助が出る年齢が40歳からになっています。若い人でも乳がんになると聞いたので30歳から補助を出して頂きたいです。補助が出ている、子宮けいがんは受診していますが補助がないと乳がんはなかなか受診できません。1万円くらいかかってしまいます。(33歳/愛知県/専業主婦)

・自治体からでる検診無料券を知らなくて、人間ドックでの自己負担で検診を受けてしまっていた。自治体でももっと真剣に検診の必要性をアピールして、近所の婦人科でも気軽に受ける事が出来る様にしてほしい(42歳/神奈川県/専業主婦)

医師や検査技師が女性になる

・マンモグラフィー検査は、女性が担当してくれるのですが触診やエコー検査は男性医師が行うことが多いので抵抗があります。必ず女性医師が担当してくれれば、もっと行きやすい。(46歳/新潟県/パートアルバイト)

・検査技師が女性のほうが、気持ち的に楽。知らない人の前で上半身裸になるのは、抵抗あるし、密室だし、女性の技師さんが安心できる。(43歳/愛知県/専業主婦)

託児対応をしてもらえる

・「婦人科に子どもを連れてこないで下さい。」という所が多いので、子どもが小学校に上がるぐらいまでは健診を受けにいきづらい。(34歳/東京都/専業主婦)

・小さい子供がいるので、自分のことに時間をさけない。子供連れでも行きやすい環境なら助かる(子供を遊ばせるスペースがあったり、子供が楽しめる環境を望む)(32歳/神奈川県/専業主婦)

予約が取りやすくなる

・予約がし易い、若しくは自治体の保険センター等が定期的に実施してくれると予定が立て易い。(42歳/大阪府/自由業)

・予約がなかなか取れない予定が立たないので、予約がとりにくい(48歳/長野県/正社員)

マンモグラフィーの痛みがなくなる

・マンモが痛いのでもう少し痛くない有効な検査があればいいのですが・・・。(56歳/北海道/正社員)

・痛くない超音波検診が気軽にできる場所が増えればいいと思います。(52歳/神奈川県/専業主婦)

土日祝日、夜間も受診できる

・時間を夜遅くだったり土日にしてもらえば、仕事を休まなくても行けるので、行く人が増えると思う。(42歳/群馬県/パートアルバイト)

・土日や夜間でも仕事を抱えていても行けるような時間にして欲しい(36歳/大阪府/契約社員)

最も多い声は「費用が無料になる・安くなる」。「医師や検査技師が女性になる」も多い。

費用負担については、自治体や企業の補助によって、環境づくりがすすんでいるようですが、検診スタッフに男性が多く、嫌な思いをしたことも定期検診を妨げているようです。小さな子供を持つ人にとっては、預けられる環境が、仕事を持つ人にとっては、土日や仕事が終わった後に受診できる環境が、それぞれ望まれています。

胸のセルフチェックについて

Q20.あなたは、乳がん早期発見のための胸のセルフチェック法をご存知ですか?

乳がん早期発見のための胸のセルフチェック法は、8割の人に認知されている。

セルフチェック法の認知率は、年代が上がるにつれ、高くなり、20代で68%であるのに対し、50代以上では90%を超える人が認知されています。

Q21.あなたは日頃からご自身で胸のチェックをされていますか?

胸のセルフチェック法を知っている人のうち、日頃からご自身で胸のチェックをしている人は半数に満たない。
乳がんについて

Q22.あなたにとって乳がんとは

9割近い人が、乳がんは他人事ではないと思っている。

年代を問わず、ほとんどの人が乳がんを自分自身の問題として考えています。

 

まとめ

乳がん受診経験者は、3人に2人。40代以上は8割、30代で5割、20代では2割。

乳がん検診は、全体では6割、40代以上では8割が受診経験者でした。30代についても半数が受診経験があると回答しています。勤務先で定期に乳がん検診を受ける人が多いためか、仕事を持つ人の方が受診率、受診回数ともに多い結果となっています。

受診経験者のうち、定期的に受診している人は56%にとどまる。

受診経験者が増えている一方、その全てが定期的に受診している訳ではないことがわかりました。その理由として最も多くあがっていたのは、受診時に嫌な思いをしたからというもの、次いで、受診費用を負担に感じてというものでした。定期的に受診する必要性を感じないと回答する人もおり、受診の必要性を訴えるだけでなく、今後は定期的な受診をうながす活動が必要と思われます。

受診経験者の87%が受診して良かったと思う反面、嫌な思いをした人も54%いる。

受診経験者の多くが、「安心できてよかった」「早期発見につながってよかった」と回答している反面、受診で嫌な思いをされた人も半数以上いました。受診時に経験した嫌な思いが、定期的な受診を妨げる大きな要因にもなっていました。具体的にはマンモグラフィーの痛みの他、男性の医師や技師に検査される抵抗感があがっていました。今後は技術的な課題も含め、検診環境の改善が望まれます。

年代を問わず、87%の人が乳がんを他人事ではないと認識。

自治体による乳がん検診費用補助が40代から始まるなど、年代によって受診率に開きがあったり、未受診者の3人に1人は受診の必要性を感じていないなど検診に対する意識の差は、まだあるものの、約9割の人が乳がんを自分自身の問題と認識しています。年代を問わず、全ての女性に検診を受けていただきたいです。

 
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